ワールズエンド・ダンスホール

『ワールズエンド・ダンスホール プレイング・マニュアル』1-1【MMORPG・オリジナル小説】

どうも、書い人(かいと)です。

つらつらとワードに書いたのを、コピペした程度です。

第一章 リスポーンおめでとう(X回目)

ラッティング

どうやら、街を出てしばらくして、NPCの標的になってしまったようだね。
PKをされなかっただけ、まあ運は良かったんじゃないのかな。このゲームの治安維持は、プレイヤー次第だから。流動的に、その場その場における治安は変わるんだ。
ちなみに草食動物は基本的に、動くオブジェクトみたいなものなので、キルしたところで得られるものはないよ。まあ、草食動物だと思って近付いたら、平気で紛れ込んだ敵性NPCにキルされるのも、またよくある話だけどね。身体に関しても栄養などの補給が必要ない代わりに、拾得物として拾えるアイテムも、基本的には存在しない。
PKを避けるために、現地の企業に入れて貰うことにしたのか。無派の独立冒険者から大手企業の軍門に下るのもまあ、ぞっとしない話だね。
『ダンスホール』にはNPC企業なんてものは存在しない。
幸いにも、初心者を歓迎する大手企業に『就職』できたようだ。企業の中には、社員を奴隷としか見做(みな)さないようなところもあるだろうから、まあ気をつけるように。栄枯盛衰(えいこせいすい)は激しいだろう。

さて、君は企業、『Republic Kait(カイット共和国)』に入ったわけか。
企業のくせに国家を名乗っている不届きな組織だ。
企業に入社するメリット、デメリットをここで伝えておこう。
デメリットを先に言うと、NPCを倒した際に、その賞金(バウンティ)額から指定された税金が取られること。通常では〇%のために満額バウンティが入るので、積もればあまり無視できない。カイット共和国の現在の税率は七%という半端な数字だが、増減の設定は権限さえあれば容易だ。
メリットは、プレイヤー間での情報交換・収集が容易なこと。
スクアッドなどーー要するにチーム戦がし易いことが挙げられる。一人では出来ないことは……そう、大勢でワイワイと実行すれば良いと思う。
国際的なゲームだから英語は使えたほうが良いが、自国間での専用コミュニティで調整するのも良いだろう。
カイット共和国は、大企業グループとしていくつかの系列企業(子会社)を採用しており、製品開発・生産などに携わる社員は、企業内税金が数%にまで抑えられる。
まあ、対人・コミュニケーション能力に問題がありすぎる人、あるいはソロで優秀すぎる人は入社には向かない、というのは本音ではある。
君は、戦闘がしたいようだね。王道のキャリアプランだ。
戦闘は大きく分けて、PvEとPvPがある。
前者は対NPC(ノンプレイヤーキャラクター)戦闘で、後者が対人戦だ。
まずは、PvEから説明しよう。
敵性NPCには、大きく分けて『害獣』と『敵兵』に分けられる。
『害獣』は障害物みたいなもので、基本的にそこまで強くないので、道中で邪魔だったら排除する、くらいの考え方で良い。倒せば『G(ゴールド)』(後述)が手に入るが、道中での無駄弾等の浪費には注意してほしい。
『敵兵』は、倒せば定められた懸賞金(G)と、拾得物として『ナナイト』が手に入るので、稼ぎには悪くない。
G(ゴールド)はこの世界、『ダンスホール』における通貨で、ナナイトはいわゆるナノマシン(極微の機械)のこと。ナナイトは、主に物資の製造に使われる。
もちろん、どちらも最重要レベルで重要だけど、説明が長くなると嫌だろうから、追々やっていこう。
君――プレイヤーの肉体は、損傷を受けても、体中を巡るナナイト(ナノマシン)によって修復される。これは、通貨のナナイトを消費しない。完全無料の汎用(はんよう)機能になる。
頭部の損傷を含めて、時間の経過で肉体の損傷は完全回復する。修復には少し時間がかかるし、それまでに致死ダメージを受ければ、もちろん死ぬ。再生回数に制限はないが、即座の治療などにはアイテムが必要だ。
死んだ場合、指定の拠点で復活することになる。魂は固定されているので、いくら身体がクローン化されていても問題ない。最先端の特殊医療の成果だね。
リスポーンおめでとう。って何回目だろう、ね?
このゲームの銃や兵器類は、弾詰まり(ジャム)や故障の類は設定されていない(存在しない)が、発砲と、敵の攻撃の着弾(ヒット)などで耐久値が減っていく。
武器・兵器やゲーム内の構造物はナナイトによる修理、耐久値の回復が可能なので、所持ナナイトは切らさない方が良い。
『敵兵』などから獲得したナナイトは、ナナイト・プレート(ナノマシンの塊)として、君らプレイヤーの収容容積に合わせて収納される。
ナナイト――極微の機械といえど、塵(ちり)も積もればなんとやらで質量=重さは増えていき、持てば持つほど、移動速度などがダウンする。
移動速度の低下は、車両などに積載することで指定の容量までは解消できるけど、高額の輸送は狙われやすい。
襲撃されて泣きを見ないように、注意してほしい。

さて、君たちは輸送量と最高速度のバランスが良いバイクに乗って、ラッティング(NPC狩り。ネズミ捕りの意)を開始したわけだ。荒野を走る君と、もう二人のトリオ。心強い仲間であることを祈る。
バイク乗車中でも銃は撃てるけど、事故には注意。片手で拳銃やサブマシンガン、あるいは一時的に立ってアサルトライフルや軽機関銃(ライトマシンガン)なんかを撃つのも良いだろう。予算の範囲内で好きに立ち回るのが、ダンスホールの醍醐味だろう。
適当に『害獣』を倒してGを入手しつつ、『敵兵』の始末や、迂闊(うかつ)に縄張りに侵入したプレイヤーを本部に報告するのが仕事になる。最後のはラッティングではなく、PvPの要素であり、場合によっては外交や戦争に関係する。
この地域は、『マシンナーズ』敵兵の動きが活発な場所となっている。マシンナーズは、一言で言うと、制御を失った自己増殖型の武装ロボットだ。機械生命体と見るかは、今なお見解が別れている……という設定になる。身も蓋(ふた)もないメタ視点だけど。
マシンナーズは、ナノマシンによる自己回復速度はかなり遅いが、大元のHP(ヒットポイント)ゲージが高く設定され、武装も高火力。基本的には銃弾よりも対装甲兵器の方がダメージの通りが良い。幸い、全員が携行式ミサイルを背負い、攻撃準備をしている。
また、大口径弾やグレネード、ロケットにミサイルランチャーの類は、バイクに積んであるナナイト・プレートから数秒で作成できる。
君たちは、荒野の岩石を壁にする形でバイクを留めて、マシンナーズとの戦闘を開始したようだね。
軟目標向けの兵装で、まずは索敵犬(ウルフ)型と人型兵士・斥候(せっこう)を始末していく。
あとは、大型の戦車(タンク)が一両。これもまた自律機動ないし、『生きている兵器』ことマシンナーズだ。
敵の増援はない。いよいよ、こちらに気づいた敵タンクの戦車砲で破砕される前に、君たちはバイクによる撹乱(かくらん)と接敵を開始した。
爆発物等で、戦車を粉砕。すぐに終わった。先手必勝だね。
死者数ゼロ。負傷の度合いも深刻ではない。まあ、すぐに治るけど。
マシンナーズの構成する物質の一部にはナナイトが使われており、特に戦車からのものは多めで美味しい。まあ、帰るまでが遠足だ。
現地の味方領の本部なり支部なりの拠点にまで運ぼう。
運びきれないほどに極端に多くなった場合は、連絡を入れて輸送ヘリなどで運んでもらうのも手ではあるので、連絡はこまめに行ったほうが良いね。報連相、チームワーク・連携は本当に重要だ。
他のNPCをサーチ&デストロイしながら、君たちはラッティングを続けることにしたようだ。幸運と、そして健闘を祈る。

あとがき

特に注釈もなく、『アサルトライフル』とかの銃の種類の名称を使っていますが、まあ必要なだけ都度(つど)説明などを入れるくらいでいいかな? とか思ったり。

まだ、物語性は薄めなのが今後の課題?

ただ、ごっそり稼げたりする行動は、リアルでもゲームでも実は地味だったりするし、その辺は変なリアリティはあるかもしれない?(特にMMORPGの既プレイ勢は分かってもらえると思います)。

 

ありがとうございました!!

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